小論文のコツは構造にある
お勧めの参考書『小論文・レポートの書き方 パラグラフ・ライティングとアウトラインを鍛える演習帳』
筋が通った論文
論文やレポートは読んでみて「筋が通っている」という点が一番重要です。「日本人の論文やレポートは何を言いたいのかわからない」という批判をよく受けるようですが、これは「論文で言いたいことが書いている本人にもわかっていない」という大問題がある場合は別にして、やはり、どのように書いて表現するか、まとめるか、というのが大きなネックになっていると思います。筋が通るように書けば、ずいぶんわかりやすくなる論文が多いのではないでしょうか。
日本人が論文が苦手、という原因は国語教育のせいもあるでしょう。日本の国語教育はあくまで文学的・情緒的な文章に中心がおかれているようで、論理的な文章を書く、というトレーニングを積む機会がなかなかありません。こうした文学重視・論文軽視の基礎教育の問題が一因だろうと思っています。
大学でも「論文の書き方」のような指導はあまり受けません。第一教える側にちゃんとした論文構成ができないのであれば、学生に教えられるはずもありません。私が教えている大学院では、大学院生の書く論文のあまりのひどさに、今論文の書き方マニュアルのようなものを作っているところです。しかし論文の書き方をマスターするためには、本当は指導者が添削を繰り返し、トレーニングを積むことが必要なんですが。
論文の基本構造
さて前置きはこれくらいにして、わかりやすく、筋が見える、したがって説得力がある論文の基本は、構造をちゃんと構築する、という点です。これが論文・小論文のコツの第一です。
論文の構造は二つに分けて考えることができます。一つは「序論」「本論」「結論」といった論文全体を形作る大きな構造です。もう一つは文、段落(ここではパラグラフと呼んでいます)といった小さな構造です。この両者がきちんとしていない限り、よい論文・レポートは書けません。小論文でも大論文でも基本はこれだけです。
小論文や短いレポートの場合は、こうした大小の構造を考えるだけで多分間に合いますが、論文が大きくなればその中間の構造も必要となります。例えば修士論文や博士論文のような大きな論文の場合、本論の部分が複数の章に分かれて、そのそれぞれがまた構造を持つ形になります。
論文の中の一つの構造はサイズの大小にかかわらず、ひとつのテーマに関してまとめたものです。このサイトでは触れませんが、中間構造であっても基本は大構造や小構造と同じです。論文のテーマを階層化して分類する必要があるだけです。
|
次のページは論文の大構造です。